今回のブログに関しては、あくまで完全に私見です
先日このような記事がYahoo!のニュースに載っていました。
細かい詳細やどのような経緯があったのは、皆さんと同じく記事のみの情報でしかないので推測の域でしかないのですが、少しだけ個人的な私見を述べさせていただこうと思っております。
目次
①全身麻酔での歯科治療??
歯科医療では最終手段として全身麻酔で親知らずの抜歯を行ったり、お子さんの虫歯治療をするなどというケースもあります。
患者さん自身は寝てる間に終わるので楽と思っていらっしゃる方も多くいます
しかしちょっと違います
病院歯科に勤務させていただいていたのでそのようなケースも多くみてきました
確かに全身麻酔と言うのは患者さんが眠った状態でできるので、一般的な歯科医院でやる治療よりもより難しいケースなどに対応することができます
これは素晴らしいことだと思います
ですが全身麻酔はお薬を使って呼吸を抑制してしまうやり方です
なので数年に1度このような死亡事故が起きてしまうこともあるわけです。
そこでここからは僕自身の個人的な私見になりますが、少しだけ全身麻酔での治療について書こうと思います
ちなみに、当院では開院以来難しい親知らずの抜歯や歯科治療が苦手なお子さんの治療も含めて全身麻酔で依頼した事はほとんどありません
これはひとえにこの全身麻酔の治療の便利さもわかってはいますが、反対に全身麻酔の「怖さ」というのもわかっているためです
今回の件に関しましては、どのような経緯でどうなったのか、例えば紹介元がどうして紹介したのかとか、どのような検査が術前でされているのかとかもわからないので、あまり具体的に触れるのはよろしいことではないと思いますが、総合的に判断したときに全身麻酔というのはやはりリスクが伴うものです。
しかし、では治療をやらなければ良いのか(虫歯や虫歯になった親知らずを放置していいか)というとそういうわけでもありません。
虫歯を放置しておくとものすごく激しい痛みになったり腫れたりしその時の治療はさらに大変なことになってしまいます
なので、根本的に歯科の治療になる前つまり本来であれば予防で何も起きないということが理想的だと思いますがなってしまった虫歯は自然に治る事は無いため治さなければいけないわけです
そしてそれが通常の状態では困難な場合は、やはり全身麻酔を使わなければいけないケースと言うのもあるわけです。
しかし問題はいくつかあると思います
②全身麻酔を使うケースは??
全身麻酔を使うケースで多いのは以下のとおりです
A)親知らずの場合
親知らずを全身麻酔で抜くというケースは多くあります
当院でも他の歯医者さんで入院して全身麻酔で抜くしかないと言われた親知らずのケースが大変多く来院されます
しかし実際そのほとんどを当院で全身麻酔ではなく局所麻酔で抜いているのが現状です
つまりちょっと言葉は厳しい言い方になりますが、前の先生が「抜けなかった」ために全身麻酔に送られてしまっているというケースです
もちろん中には当院でも抜けないケースというのも数本ありました
そのほとんどは「口が開かないケース」具体的には3横指(指3本を縦に並べて)あかないケースです
そのような場合は致し方ないとして、しかしほとんどのケースは、もしくはこれは難しいから抜かないで置いておこうと言われ大変なことになっているケースは、実は抜ける歯科医師が抜けば全身麻酔にならなくても抜けるケースなわけです
つまり歯医者の力量不足で全身麻酔と判断されているケースが非常に多いということです。
B)お子さんの虫歯治療??
小さいお子さんはお薬に対する対抗する強さも弱いため必要以上にお薬が効いてしまっい色々なこと(死亡事故など)になるケースがあります
そんな中で問題なってくるのは一般的に歯医者が苦手なお子さんの虫歯治療を全身麻酔でやるケースです
これはご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、結構多くあります。
お子さんの歯科治療は大変で時間もかかり歯医者にとっては大変な部分が多いのでいやりたがらない先生が多くいらっしゃいます
そういう先生が全身麻酔で依頼するわけです
これはそういう患者さんが集まるということもあるのですが意外に小児歯科を名乗る歯医者で多いです
正直なんのための小児歯科?って思ってしまいます・・・
③全身麻酔での歯科治療に関する私見と当院での対応
そして僕自身は①親知らずとは異なりこれに関しては絶対に反対です。
実際に北斗病院でもある先生がそのリスクをしっかり説明し、全身麻酔で虫歯治療をしないほうが良いのではないかと言う説明をされていました。
これは本当に素晴らしいことだと思います
そのリスクをわかっているだけにそういう話になるわけです
確かに乳歯の虫歯は放置していいものではありません
なぜなら子供の歯の虫歯は大人の歯に影響を及ぼしてしまうからです
なので、放置しておくことができません
ですが、問題は全身麻酔でやらなければいけないのかということです
当院ではそのようなケースが多く来院されます
当院ではそのようなお子さんに対して時間をかけながら練習をしていくわけです。
そうやってやっていくと最初怖がったり、大泣きしていたお子さんでも治療しなければいけない必要性そして治療が怖くないものであるということを理解してくれてちゃんとやれるようになります
実際当院ではそのような歯医者が苦手なお子さんが多く来ていただいていますが、最後までできるようにならなかったお子さんは1人2人です。
お子さんの可能性は無限大です
なので、大人たちがちゃんと向かい合い取り組んでいれば、わざわざそんな全身麻酔で呼吸を止めてやらなくてもやれるようになってくれるわけです
実際病院歯科にいた時には全身麻酔で送られてくるお子さんが非常に多いわけです
そしてその多くはじっくりとトレーニングをしていけばできるようになって、全身麻酔で治療をしなくてもちゃんとやれているケースです
めんどくさがってるのはどちらかというと歯医者です
さて今回の記事の件もそうですが総合病院などの難しいところですが、やはり紹介元の先生の建前というのもあります。
基本的には紹介していただいた先生にお願いされたらその通りやるというのが病院歯科の仕事です
でないと紹介をいただけなくなりますので
なのでこの子本当はできるなと思っていても、全身麻酔にせざるを得ないケースがあるのも現状です
親知らずでは仕方ない部分もあるとしても、お子さんの虫歯治療などにおいては、その怖さをわかっているだけに当院においては全身麻酔に送るケースは0にしたいと思っています
それは先ほどもお話ししたように、悲しいケースと言うのはいつ起こるか分からないのでそういうケースにならないようにという想いです。
④現実にはこんなケースも・・・
しかし難しい現状もあります。
先日のケースですが、とあるお子さんですが練習を(いつからトレーニングをするかも重要です.あまり大きくなってから練習しても、怖さが染み付いていると、なかなかトレーニングの成果が出るまでに時間がかかりてしまうわけです)と思いお母さんに話したところ、「うちの子は嫌がっているので嫌がってることはさせたくありません.全身麻酔でやります」と言われてしまいました
少しトレーニングをしたら全然できそうなお子さんです
もちろんこの件が出る前ではありましたが全身麻酔のリスクなども時間をかけてお話をさせていただきましたが、なかなか理解いただけず全身麻酔になりました
最後お子さんは嬉しそうに「バイバイ」と言いながら帰って行きました・・・
今までなかったケースでちょっとびっくりしました
もちろんご家庭ご家庭の考え方がありますので仕方ない部分はあると思うんですが、お子さんは自分で決めることはできません。
そしてスタッフさんが言ったのが「先生に任せれば全身麻酔にならなくても全然できるのに」という言葉でした
難しいなあと思ったケースです
⑤歯科治療をより安全に
歯科の治療において全身麻酔だけではなくて、歯科治療というのはある意味外科的な部分が多くあります
例えば神経のある歯は麻酔をして削らなければいけないケースも多くあります
そしてそれは前述のように放置しておくと大変なことになります
ですのでそのように歯科治療というのはやらなければいけないものですが、いつもある程度のリスクと隣り合わせであり、そういうものに対してしっかりとした知識を持ち、しっかりとした対応ができなければいけないと思います
日々そういう緊張感を持って、僕たちは治療に当たらなければいけないと僕自身は日々思っているわけです。
⑥一番大切なことは
そして何よりもやはり度々話していることですが、そういうリスクのあるものなのでできることなら「治療」ではなくて、「予防」という形でそのようなトラブルを起こさないことが1番であると僕は考えております
当院が口腔外科にいた経験にもかかわらず、「予防・予防・予防」「抜かず・削らず」と言っている1つの理由はそこです
このケースで悲しいのは、結局誰1人として幸せになっていないということです。
被害に遭われた患者さんや患者さんの家族はもちろん、紹介元の歯医者、そして紹介された病院、歯科業界、そしてこの記事を目にする一般の方々(不安になりますよね)・・
このようなことがこれからもできるだけないことを強く願いますし、少なくとも当院においてそのようなことがないようより技術の研鑽などを行い、またこれからも「予防」ということをしっかりと謳いながらこのようなことでお困りになられる患者さんが1人でも少なくなるよう努力していきたいと考えております
歯科治療においてこの全身麻酔もそうですが、一見簡単、楽な道を進める歯医者も多くあります
しかし楽と思われるところには大きなリスクがあええることがあります
虫歯治療などにおいてもそうです
歯科医師は患者さんの人気が欲しいばかりに何も知識のない一般の方々に安易に「簡単な道」をさもリスクがないように話してしまっています
この一つの例が全身麻酔になってしまっている傾向があります
しかし患者さんは歯のことは全くの素人です
歯科医師がしっかりと方法やそのメリット、デメリットなど伝えるべきことを伝えなくてはいけないと思うわけです
最後は少し説教じみた話になりましたがこのようなことがこれから起こらないことを強く願うばかりです
お口の中のお悩み事はどのような些細なことでも構いません
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