当院が行っている治療は「できるだけ抜かない・削らない治療」です
その一番の方法は、クリーニングなどを中心とした予防治療です
しかし、日本の医療の矛盾でもありますが、日本の医療は予防を勧めているにもかかわらず、日本の医療は「疾病医療」。
つまり病気になったら治すのは保険がききますが、病気にならないための治療は保険がきかないという医療です
その代表的なのは医科の「人間ドッグ」ではないでしょうか。
本来一番大切な予防をやるためには多額のお金を患者さんが負担しなくてはいけない
そのため病気になってから医療を受けるケースが多いのが現状です
歯においても同じ現状があります
また、とりわけ歯はいよいよになってから(抜歯するしかなくなってから)ではないと痛みが出ない組織なので、患者さんの多くが痛くなってから、腫れてからの来院になってしまい、抜歯や同等の状態になってから来院されるケースが非常の多いのが現状です
しかし、少し状況は変わっています
コロナ禍において口の中が汚かったり、歯のない人がコロナにかかりやすいということが立証されるにつれ、少しずつ「歯の予防」に日本の医療も移行し始めました
その一つが「か強診・外来環」という施設基準(資格)の設立です
この施設基準を満たしている歯科医院は「保険でしっかりとした定期健診(クリーニングなど)」ができるという資格です
実際、定期健診(クリーニング)、予防の需要はものすごく高まっています
(当院では予防で来院される方が急増しています)
先日東京で勤務されている歯科衛生士さんと話す機会がありましたが、その衛生士さん曰く「その方が勤務されている歯医者では1年間で作る入れ歯の数は5個程度でほとんど歯を抜いていない」とのことでした
実際、歯科医師会では8020運動「80歳で歯を20本歯を残す」という活動をしていますが、僕が歯科医師になった17年くらい前は、8020達成者は5%程度でした
それが先日発表された結果では、なんと50%を超えたという驚きの数字でした
しかし、十勝はまだまだ全然そんな数ではありません。
入れ歯の方、入れ歯で食べられず困っている方が大勢いらっしゃいます
(つまり地方と合わせた平均値なので都会はもっと高い数字ということです)
では、なぜ十勝は遅れているのか?
そこにはこの「か強診・外来環」を取得している歯科医院がほとんどない。
保険でしっかりとした予防治療ができる歯医者がほとんどないというのが現状だからです
なのでいつまでたっても「何かあったら来てください。抜きます」という医療を行っているという現状があります
この資格を取るのは大変です
この資格を取るのはいくつかの基準があります
その基準は
①お掃除の専門家歯科衛生士が常勤でちゃんといること
~十勝ではこれがかなり難しい状況です。実際、統計では2,3件に1件しか衛生士がいない。
(これは平均値なので、実際には当院のようにたくさん歯科衛生士がいる歯医者も数件あるのと、常勤非常勤も含めてその数値なので、常勤歯科衛生士がいる十勝の歯医者の割合はもっと少ないのが現状です)
②訪問診療をやっていること
十勝で訪問診療をやっている(できる)歯科医院は殆どありません
これも理由の一つです
③資格を取るための勉強会に参加していること
④国が定めた特定の機械がそろっていること
~これを揃えるのもそれなりにお金がかかるため、ある程度多くの患者さんが来ていただいてる歯科医院じゃないと揃えられない現状があります
このような理由から、十勝ではこの「か強診・外来環」をもっている歯医者はほとんどないのが現状であり、このことがいつまでも削る、抜くという歯科医療から脱却できない。十勝の方々の歯が都会と比べて少ない理由です
驚いたことに制度化してだいぶ経つのに、これだけ歯科医院があるのに、当院がこの施設基準を取得した時点でこのこの資格を取得した歯科医院は北海道で1000件に満たない数でした。
いかにこの資格を取るのが難しいのかがわかる数字です
また国は医療費の削減のため、これらの施設基準をとれない、つまりちゃんとした人材や機械がない。ちゃんとした医療をしていない歯科医院をなくす方向(基準を満たす歯科医院を優遇する)に舵を取ってきています
誰だって歯は抜きたくないし、削りたくないと僕は思います
実際、僕も自分の口の中で考えた時、歯は絶対に抜きたくないし、削りたくありません
当院は、そのような想いから苦労はしたもののこの「か強診・外来環」を取得した歯科医院です
当院が目指しているのは「できるだけ抜かない・削らない」歯科医療です
そして今や歯を抜かない、削らない時代
予防の時代です
歯医者はどこも同じではありません
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