先日その場面に遭遇した患者様もいらっしゃったかと思いますが、ある事件が起きました
(ご迷惑をおかけした患者さんに至ってはこの場でお詫び申し上げます)
いつも検診で通っていただいているTさんという患者さん。
ところがこの日は検診の予約でしたが時間になっても来院されませんでした
いつも時間通りしっかり来ていただき、きれいにお口の中を磨いていただいているTさんなので、どうしたのかな??と不思議に思っていたところ、予約時間の10分ぐらいを過ぎて来院されました
そうしたところTさんの顔は傷だらけ。
驚いた受付スタッフが「院長、大変です。Tさんがすり傷だらけです❗️」と飛んできました。
お話を聞くと「どこで何があったのかも記憶にない。転んだような気がする。何が起こったか分からないけど気がついたら顔が傷だらけだった。いつもの歯のクリーニングをしてほしい」とのこと。
しかし、お顔を拝見させていただいたところ、経験上、「鼻の骨と頬骨の骨折。(脳の外傷性疾患も?)」がだろうと判断できたため、自宅に帰宅すると言うTさんを説得し、応急処置を行い紹介状を書き搬送車を手配し、総合病院に搬送させていただきました
この間受付スタッフも大変だったと思いますが、僕が応急対応している際、搬送車の手配や病院やご家族への連絡など物凄くてテキパイやってもらえました
特に当院の受付主任の動きは素晴らしく、たまたま医院にいた家内が「Oさん(受付主任)めちゃくちゃ仕事ができる❗️」と驚いていました
(またOさんが患者さんTさんの件で対応をしている間、今回のユニット(診療台)増設のため年始に入職していただいたIさんは他の患者さんへの説明や対応を迅速にしていただきました)
当院では当院が目指す「東十勝の地域拠点歯科医院」という立場上このような方や物凄く腫れた方。ものすごい痛みを抱えた方等等が多く来院されます
(このような対応ができるというのも当院に通院していただいているメリットと個人的には思っています)
そのため診療スタッフ、受付スタッフがどのような対応・報告をするかがわかっていて的確に動いてもらえるのは当院の強みでもあります
(そうでなければこのようなことはできません)
さて、このTさん。
どうなったか心配でその後ご連絡を差し上げましたが、連絡がつきませんでした
それから数日経った昨日、Tさんからご連絡があり、搬送先の病院からさらに別な病院に搬送され、頬骨と鼻骨が骨折(脳には問題なし)が判明したとのこと。
また、お医者様からは
「こんな適切な処置(対応も含め)ができる歯医者があるなんて。もしそのまま応急処置がしっかりされていなく、帰宅していたら命の危険もあったよ。歯医者の先生に感謝しなさい。いい歯医者に通っていてよかったね」
と言われたということで大変喜んで連絡をいただきました。
これは大変嬉しいことでした
こういうときの対応は本当に命に関わることがあります
その判断や対応を誤ったり適切でないと重篤な事態を引き起こしてしまいます
ましてこの方はお一人でお住まいの高齢の方。
時にそれはお医者さんだけではなくこのように歯医者に求められるものでもあります
それは自分達は歯医者だからでは済まされません
ちなみに僕のインプラントの師匠は年に1人くらい口の中以外の癌を血液検査などから見つけ医療機関に紹介しているそうです。
実は何かあった時のみの来院になりがちなお医者様に対し(悪いということではなく医療の特性上)、私たち歯科医院は日常に寄り添う医療ですので、私たちが見落としてはいけないものも多くあります
(それが現状として一般的な歯科医院で見つけられているのかは・・・というところですが)
僕がそのような経験を北斗病院勤務時代を始め医療の最前線でさせていただき経験を大変多く積ませていただいたため、このような対応にも慣れている部分はあります
実際歯医者になりたての頃は当然こういう経験がなかったためどう対応したらいいかわからずあたふたしてしまったこともありました。
ですのでこういうことはあまり経験のない先生にとっては大変苦労されてしまうケースだと考えられます
ですが、「歯医者」といえど「医者」です
緊急事態は適切な対応ができる技術と知識を持っていなくてはいけないと私は考えます
そして、話は少し変わりますが田舎の歯医者は都会の歯医者から若干軽視されがちな部分があるようにも思われます
しかし実際先ほどのインプラントの師匠ではありませんが(この方も田舎でご開業)田舎の歯医者はこのような対応を始め、難しい親知らずの抜歯やあらゆることができなくてはつとまらないものだと思います
都会の歯医者では数メートル先の大学病院や専門のお医者さん(歯医者も含め)があり、
何かあったら五分で行けるという状況です
しかし、地方は違います。
このような緊急事態の患者さんが搬送され移動するまでにはかなりの時間がかかります
また例えば難しい親知らずであっても抜けなければ、その患者さんは1時間以上もかけて総合病院や病院に通院しなければいけなくなります
それは患者さんにとって大変な労力です
ですので実際は都会の歯医者よりも田舎の歯医者の方がやらなければいけないことが多く、より高度な知識と技術が必要である。その責任は重いと僕は考えております
(ちなみに先日当院にメインテナンスで来院中のとある男性の方が時間外に突然来院し、「背中にイボができたから先生に切ってほしい。先生はインプラントとか難しいことをいっぱいやってるので先生ならできる❗️」と来院されました。さすがに背中は無理です(汗))
それにしてもTさんがまずご無事でよかったという気持ちと、あんな大怪我しても「歯医者のメインテナンスをしなくてはいけない」ともう無意識状態で歯を大切にしたいという思いを持って来院していただいた患者さんのお気持ちに感謝と
そして、実はこの1ヶ月で僕はこのような方を6名みさせていただいています 汗
(最近多いですね・・・コロナの自粛が続いたため皆さんの足腰が弱っているのでしょうか??)
なので今月はちょっと多くて疲れてきています 苦笑
でもこの方に言っていただいた、「先生に命を救われた。先生のおかげです」というお言葉はまた明日から頑張ろうと言う気力になります
実は最近思うのですが、僕が医療をしているのは、お金だとかそういうものではなくこの患者さんからの「先生のおかげです」と言う言葉が欲しくて診療をしているようにも思われます
これからもさらに高度な医療を提供できるよう僕自身研鑽を積んでいきたいと思っています
お口の中のお悩みはどんな些細なことでも構いません
お気軽にご相談ください
追伸)
ちなみに後日談ですが、その場にいらっしゃった患者さんから
「ここは歯医者でなく救命病棟かと思った。先生の歯医者すごいね」と言われました 苦笑
あらためてご協力をいただいた方々にはTさんがご無事であったご報告と、
ご迷惑をおかけした患者さんには(1名だけ事情を説明させていただきインプラントの2次手術を別日に移動させていただきました)度々ですがこの場をお借りしてお詫び申し上げます