注意すべきことは、経過日数によって異なります。基本的には担当医師の指示に従えば問題ありません。
しかし、はじめてインプラント治療を経験された方はどの程度が普通なのか分からず、不安を抱える方もいらっしゃるかと思います
また当院では手術前、手術後にご説明させていただきますが、不安を伴いながらまたは手術後「これくらいで済むんだ」と安心をされている状態でお話が頭に残らないことがあります
そこで今回のコラムでは「手術後の注意事項」についてご説明させていただきます
インプラント治療の術後に気を付けることは8つ
目次
🔳術後直後~1週間程度
- 麻酔が切れるまで飲食に注意
- 十分に止血すること
- 食事は柔らかいものを
- 飲酒・喫煙は厳禁
- 入浴や運動も極力控える
術後1週間以降
- 歯磨きは毛先の柔らかい歯ブラシを使いできるだけきれいにしておく
- 抗生剤・鎮痛剤などは自身の判断でやめない
この記事では、インプラント治療の術後に起こりうる症状、痛みや腫れを抑えるためにできる対策・気を付けることについて解説していきます。
1.インプラントは術後すぐに使えるわけではない
インプラントは、手術が終わったからといってすぐには機能しません。
いインプラント治療はねじ込むわけではなく、インプラント体(フィクスチャー)を骨にくっつけて(オッセオインテグレーション)させるものです
そのため骨にくっつくまでは少し時間が必要です。
インプラント治療には1回法と2回法の2種類があります。
いずれもインプラントを埋め込む穴を開ける手術をしてから、術後の経過を見て上部構造をかぶせたり(1回法)、アバットメント(土台)を連結したり(2回法)します。
1回法が使えるのは、顎骨の厚みが十分にあると判断された患者さまのみです。ですのでほとんどが2回法の治療となり、1回目の手術後、下顎の場合3ヶ月程度。上顎の場合6か月程度経過してからアバットメントを入れていくことになります
そのため、完全に治療が終わるまでは患者さまご自身によるケアが大切です。
手術自体がうまくいっても、メンテナンスを怠ることで傷の治りが悪くなったり、感染症を引き起こしてしまったりすることもごく稀にあります。
手術直後は、痛みや腫れがあるので酷くならないように意識するかもしれません。
しかしだんだん慣れてくると、ケアが疎かになってしまうケースもあります。
術後の経過日数によって、注意すべきことが変わってきますので、快適にインプラントを利用するためにも担当医の指示はしっかり守りましょう。
2.インプラント術後に気を付けること
インプラントの術後直後から1週間の間は気をつけることがあります。
この期間は、まだ痛みや腫れもあるでしょう。しかし、個人差がありますので人によってはまったく痛みや腫れがない場合も。とはいえ、気をつけるべきことや控えるべきことは変わりありませんので、しっかりと守ってください。
2-1.直後~1週間程度
インプラント治療の手術では、「局部麻酔(一般的に虫歯などを治すときにする麻酔)」で行います
局部麻酔は2〜3時間(個人差はあります)程度で効果が切れます。
術中は麻酔のおかげで痛みがないものの、麻酔が切れてからは痛みを感じる方もいます。
痛みが出る前に痛み止めを飲んでいただくこともあります
当院のデータですが(3年前半年間でインプラントをした120人(今はもっと多いのですが)の方を対象にデータをとったものですが)
120人中80人(大部分)は麻酔が切れた後、若干痛かったので痛み止めをその日だけは飲み、次の日くらいからはほとんど大丈夫だったという方。
1番良好な20人は全く痛くなかった。
下位20人は2週間くらい痛かった(この方々のほとんどは骨が少なくい骨造成手術(骨を増やす手術)をしなければいけなかった方々です)というデータがあります。
一般的には単純埋入(骨があり骨を増やす手術がいらないケース)では、腫れは3日目くらいがピークになりますが、1週間も経てば痛みも腫れも収まることが多い傾向にあります
また、手術直後は医師から薬が処方されます。抗生剤に関しては医師の指示通り、飲み忘れがないように正しく服用しましょう。
2-1-1.麻酔が切れるまで飲食に注意
麻酔が切れるまでに注意すべきなのは「飲食」です。
麻酔が効いている間は、口元の感覚がないので熱いものや刺激物でやけどをしても気付きにくいものです。また誤って頬や唇、舌を噛んでしまう危険性もあります。
手術直後の数時間はできれば飲み物だけにして、麻酔が切れるまでは食事を控えるまたは「冷たいもの、柔らかいもの」のお食事を推奨しています
2-1-2.十分に止血すること
多くの手術をしている中で血が止まらないというケースに遭遇することはあまりません。
また、インプラント手術に限らず抜歯など口腔外科的手術においては、傷口は血が溜まりかさぶたになり、それが骨や歯茎になり治ってくれます。
ですので出血はある意味歓迎されることです
異常な出血は別ですが、一般的にある程度出血があった方が治りもよく痛みも少ない傾向にあります。
また、お口の中は唾液などでうすまさります。
そのため少しの出血でも大量に出ているように感じることもあります。実際、1日いっぱい出ていたとしてもお口の中の実際の出血量は献血にも満たないというデータもあります。
気になる場合はご連絡いただければ幸いです
また出血が気になる場合、清潔なガーゼなどを施術部位で噛んで圧迫止血してください。10〜15分程度で適宜ガーゼを新しいものに交換しましょう。
また歯医者で使う麻酔には全国共通ですがエピネフリンという成分のお薬が入っています
どういう成分かというと血管を窄め麻酔が一気に流れないようにし、よくきかせそして出血をしないよう(治療がやりやすいよう)にしてくれるお薬です
これが麻酔が切れるとともになくなっていきます
そのため手術をした直後は出血をしていなくても、麻酔が切れる頃に出血が出てきます
その段階であせられる方がいらっしゃいますが、それはそういうことなので安心して下さい
2-1-3.食事は柔らかいもので
前述したとおり、術後麻酔が切れていないうちは食事を控えましょう。
もしくは麻酔が切れる前のお食事は「冷たいもの、柔らかいもの」が望ましいです
また、1週間程度はおせんべいや飴などの硬いものや辛いものなどの刺激物、ガムは避けた方がいいかもしれません。
2-1-4.飲酒・喫煙は厳禁
術後当日は、飲酒・喫煙は厳禁です。
アルコールは、摂取すると血行が良くなるので、出血や痛みの原因になります。
タバコは、粘膜の治癒に悪影響を与えます。歯肉の血行を悪くして傷の治りが悪くなるので、施術の傷が治りにくく、化膿してしまうことも。少なくとも、手術の前後1週間程度は禁煙をするようにした方がいいです。
当院ではどうしてもやめられない方は当日だけは禁煙していただくようお願いしています。
2-1-5.入浴や運動も極力控える
入浴や激しい運動も血行が良くなるので、痛みが出やすくなったり、出血の原因となったりします。
術後当日はシャワーやぬるま湯程度にして、熱いお湯は避けましょう。
また当日は、激しい運動を控えてください。
日常生活程度は問題ありません
2-2.1週間~メンテナンスまで
続いて、術後の痛みや腫れが落ち着いた1〜2週間後以降のケアやメンテナンス方法をご紹介します。だんだんと違和感がなくなってくると、最初は頑張ろうと意気込んでいたケアも次第に雑になってくるかもしれません。早いうちから習慣化して、日頃から口内環境を整えましょう。
2-2-1.歯磨きは毛先の柔らかい歯ブラシで
インプラントの手術直後で大切なのは「歯磨き」です。
インプラント手術部は糸で縫います
なので糸が取れるまで(1週間程度)は手術部は触らず他の部位はしっかり磨き(できたら歯磨き粉はつけない方がいいです)、手術部はうがいをよくして対応していただけると助かります
糸が取れたあとはよく磨きましょう
歯磨きは、毛先の柔らかい歯ブラシを選ぶようにしましょう。インプラントの施術部位以外は、いつもどおりのお手入れが必要です。汚れや菌が溢れかえっている口内では、施術部位にも悪影響を及ぼす可能性があるからです。
2-2-3.鎮痛剤で痛みをコントロールをしよう
術後、麻酔が切れると同時に痛みが出る可能性があるので必要であれば鎮痛剤を飲んでおきましょう。術後の痛みは鎮痛剤でコントロールし、上手に乗り切るようにします。術後の痛みは数日程度で落ち着きます。
お痛みに関しては前述の当院のデータが参考になるかと思われます
ごく稀ですがどうしても痛みが続く場合は、市販薬でも構いません。ただし、鎮痛剤を飲んでも効果がない場合や薬の量を増やしても効果がない場合は、担当の歯科医師に速やかに相談しましょう。
2-2-4.抗菌剤は最後まで飲み切る
鎮痛剤と同時に抗生物質も処方されます。抗生剤については、指定された日数を飲み切ることによって効果を維持します。飲み忘れると効果がなくなったり、耐性菌ができたりするので、患者さまの判断でやめないでください。
その他ご不安な点などありましたら歯科医師に遠慮なくお問い合わせください
インプラント治療は歯をなくし美味しく食べられなくなった方々が食べられる喜びを取り戻せる素晴らしい治療方法です
手術の仕方や術前術後の口腔ケア(清潔の保つこと)さえ間違わなければいつまでも美味しく食べることを助けてくれます
ぜひ有効活用していきながら美味しく食べていきましょう
その他お口の中のお悩み事はどんな些細なことでも構いません
お気軽にご相談ください