先日退院から当院へ「歯が痛い」ということで転院されてきた患者さんのお話ですが、歯が痛いということでかかりつけの近隣の歯医者さんに連絡をしたところ、3ヶ月待ちと言われてしまったということでした。

これは何もこの近隣の歯医者さんに限ったことではありません。

①十勝の歯科事情

度々お話をしていますが、現在十勝の歯科医師の先生の高齢化や若い先生の都会開業志向（供給不足）ならびに患者さんの高齢化による虫歯や歯周病の増加（需要過多）、ならびにスタッフさん不足（若い方々の都会移住志向）により十勝の歯科医療は非常に切迫した状態になってきています。

しっかりと治してくれる小規模の歯医者さんで治療を受けようとすると、場合によっては数ヶ月予約が取れないということもあります。

そういえば、先日当院にインプラント治療でご相談にいらっしゃった方も「通っている歯医者の予約が2ヶ月に1回位しか取れない、これでは治療が進まない」とおっしゃっていました。

これはなにも珍しいことではありません。

十勝の歯医者は歯科医師1人、スタッフさんが2、3人のみで診療している小規模の歯医者さんがほとんどです。

そうすると大体1日に見ることができる患者さんの数は20人から30人までいかない程度です。

そんな中でここにきての患者さんの増加と歯科医師不足。

昨年も数名の先生がお辞めになられました

②若い方の都会志向

またそれに加えスタッフさんを中心とした最近の若い方々は、皆さん東京や札幌での都会生活を好まれる傾向にあります。

それはそうです。

十勝は僕の生まれ育った街ですが、昨年から藤丸さんも長崎屋さんも・・そして今回はヨーカードーさんもなくなり僕の子供の頃とはだいぶ変わってしまいました

そんな中では歯科医師に関わらず若い人たちが十勝にいようと思話ないのもわかる気がします

若い方が住みたいと思える街づくりも必要ではと思いますが、それは今日の本題ではないので。。。

ただでも定員割れしている帯広の歯科衛生士学校を卒業された方々の半数以上が十勝に残らず札幌などに出て行かれるそうです

（そこに歯科技工士さん不足もあるのですがそれはまた別なブログで）

そんなこともあり十勝の歯科医療はとても厳しい状況になっております。

加えて今までの十勝の歯科医療を支えていただいていた中規模から、大規模の歯科医院においても、同様に人材の確保困難や先生の高齢化などからどんどん規模（患者さんを請け負う数）を縮小している傾向にあります。

③十勝の歯科医療を崩壊させないために

僕自身が思うのは十勝の歯科医療を崩壊させないためには、年輩の先生がこれから人材不足、人件費高騰の中で人を増やし、医院を大きくすることはリスクです

また人数も多く見ることも大変です

ですので現在40代くらいの僕と同年代くらいの先生方が少しだけ医院を拡大し、踏ん張らなければいけない時期なのかなと思っています。

そしてやがて10年、15年後に次世代の先生にバトンタッチしていけるような環境づくりをしていくべきではと思います。

そんなこともあり当院ではユニット増やしたい衛生士さんを増やしたり、勤務医の先生にご勤務いただいたりしながら少しでも多くの方々にしっかりとして良い医療を提供し、少しでも早くしっかり食べてもらい、そしてながくもつようにということを目標に日々診療を行っています。

このことは５年くらい前から僕が警戒していたことですがここ1、2年で一気に医療の深刻さには増したように思われます。

そして、若い先生がなかなか入ってこないの状況においてはますます良くなるどころか悪くなってしまうように思われます。

本当にどうなってしまうのでしょうか？

来年、再来年には国民歯科皆検診が待っています

少し生意気言いましたが

僕自身は十勝出身ということもあり、「十勝愛」はそれなりに持ち合わせています

そんな当院が少しでも多くの目の前の患者さんたちとこれからいらしていただける新規の患者さんに医療を提供できるように頑張っていきたいと考えております。

④今回のコラムでお伝えしたいこと

今回のコラムで言いたい事はそんな政治的な話ではなく1つです。

十勝の歯科医療は皆さんが思っている以上に大変な状況です

ぜひ、「40代くらいの先生がやられている良い歯医者さんを早めに見つけ、そしてそれらを大切にしていって欲しい」ということです。

歯医者は過剰だとかワーキングプアだとかいうマスコミが言っています

ですがそれは間違いです

あれは札幌や東京の話であり、ここ地方都市の十勝は全然そんなことはありません

同年代の先生方はかなり大変な仕事を強いられています

歯医者を大切にしてほしい

歯を大切にしてほしい

歯医者なんていっぱいあるしと思っている方から淘汰される時代になってきています

できることなら当院が皆さんにおいてそういう歯医者であれるように日々頑張っていきたいと考えております。

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