□技工士さんとの打ち合わせ
先日は技工士さんの会社と打ち合わせを兼ねお食事をしました。
当院では、何件かの技工士さんの会社にお仕事を受けていただいております。
通院していただいている患者さんも多いため、技工物(銀歯や入れ歯など)も多く(日本でも有数とのこと)、一つの技工士さんの会社では賄いきれないことと、技工士さんは現在大変不足しているため1件の技工士さんとのお付き合いではその技工士さんに何かあると医院を運営できないなどの理由から複数の技工士さんの会社にそれぞれ得意な分野を受け持っていただいています。
年末はその中のある技工士さんの会社の方に忘年会に来ていただき、お食事をしながらいろいろな話をしました。
今回は別の技工士さんと打ち合わせをしました
実はこういう時間をなかなか歯科医師の先生は取らないのですが、僕自身は結構大切な時間だと思っています。
一昔前は院内に技工士さんがいるというのが主流でした。
しかし現在は歯科医療もどんどん複雑化・多様化してきているため、院内の技工士さん1人の知識技術では対応できない状況です。
また前述の通り現在歯科技工士さん不足は深刻であり、院内の技工士さんでやってる医院はその技工士さんに何かあった時に他の技工士さんに頼もうとしても引き受けてもらえなくなってきてます。
なので、多くの歯科医院が技工士さんの会社にお願いし型を取り、それを技工士さんの会社に送り作ってもらい持ってきてもらうということをしています。
ここで技工士さんと話した話の中で面白い話が色々あったので少しご紹介しようと思います
歯科業界の未来が垣間見える話なので参考までに書かせていただきます
(少し長文になりますが患者さんにとってこの先の歯科医療との関わり方につながる話なのでぜひ読んでいただけたら嬉しいです)
その中で話題になっていたのは
①技工士さん不足
これはかなり深刻です
この技工士さんは60後半の技工士さんで複数の勤務の技工士さんを雇われて比較的大きくやっていらっしゃる方です。
この方が度々口にしてたのは、自分自身はあと何年現役としてやれるかわからないということでした。
そして多くの同年代の技工士さんが自分の技工所を次々と閉めているとのことでした
ですので、この先多くの患者さんが「歯科技工難民」になってしまうであろうということをおっしゃってました。
これは僕自身も前々から思っていたことです。
俗に言われる働き手不足は日本全国で深刻であり、その中でも歯科業界は極めて深刻です。
歯科業界の中で、歯科衛生資さん不足も深刻ですが、一番深刻なのは歯科技工士さんと言われています
技工士さんの仕事は大変過酷で、離職率の極めて高い仕事になってしまっています
これは私見ではありますが、技工物に関しましては今後は中国などに依頼していかなければいけなくなり、日本ではもう賄えなくなる時代が来るのではないかと思っております。
ですが、僕自身もそんなことを想定し中国語を勉強もしてみましたが(すぐ挫折しました汗)、ちょっとした感覚というか思っているものと患者さんが思っているものを外国人の方との間で一致させいいものを作るのは不可能です
加えてその作ってきたものを日本に入れるというのを様々な手続きなどがあり、とても困難です
一昔前は銀歯1本作るのは1日2日でやることができました。
しかし現在技工士さん不足のため、昔のような作業期間で歯を作る事はできません。
数年前技工士さんが過労で自死されたこともあり今はその働き方も見直されてきています
中には技工士さんに強く言って、短い期間でやらせている先生もいらっしゃいますが、だんだん技工士さんが足りなくなる中で技工士さんが仕事を選べるようになってきている中でそのような先生の仕事を技工士さんが引き受けるでしょうか?
そしてあんまり技工士さんに急がせるととりあえず間に合えばいいんでしょ。という感じでてきとうなものを作ってこられたりします(歯医者側が悪いのですが…)
そういう先生から仕事を断っていくのではないでしょうか
もちろんプロとプロなので全て優しくと言うわけではありませんが、技工士さんのこともちゃんと歯科医師として考えていっていい関係でお付き合いをしていかないと技工士さんに嫌われてしまうと歯科医療ができなくなると考えております。
②技工士さんの仕事の忙しさ
歯科業界は現在かなりの人材不足です。
それは歯科医師に限ったことではなく、歯科衛生士さん、歯科技工士さんなど歯科業界に関わるあらゆる人たちが不足しています。
それに反して患者さんの需要はどんどん増しています。
なので僕自身は今回うち合わせをした技工士さんの息子さんが技工士になられてご活躍されていると言うことでしたので、「良い仕事についてもらいましたね」「一生技工士さんだったら食いっぱぐれないですか」という話をしました
そうしたところ技工士さんからは
「確かに仕事はものすごくあるんです。ですが、過酷すぎます」
と言う話をされてました。
本当にその通りです。
③技術の発展
当院も現在取り組み始めていますが、医療は現在自由診療を中心に「デジタル化」してきています。
歯科医師がそうであるように若い歯科技工士さんもその方向に向かっていると言うことです。
これは1つの最新技術ができるということで、良い話ではあります。
しかしここに大きな問題もあります。
なぜなら、保険診療は昔ながらの手作業です。
しかし、若い歯科講師さんが前日のように仕事が多くなったことにより仕事を選ぶようになり、手作業でやる昔ながらの保険診療をやりたがらず、デジタル作業ばかりをやりたがっている
若い技工士さんはデジタルプリンターやパソコンやを使って作る技工物に興味があり、保険の昔ながらの作業はあまりやりたがらない(できなくなってきてる)ということです。
これは歯科医師にも通じることでもあります。
業界全体が患者さんが多くなり、そして歯科医師不足によりどんどん保険外保険外と言うほうに、つまり単価の高いものへ移行しています。
ですが、社会医療は本来は医療です。
病める人悩める人を助けると言うのは医療だと僕は思っております。
そんな中でデジタル化に関しましては、他自身ももう10年近く前から学んでいることですが、そこまで積極的に進めていませんでした。
それはまず1つは正確性の問題でした。
しかしこれに関しては大幅に改善され、非常に精度の良いものができてきているので、全く心配することはないです。
もう一つは難しい治療をやろうと思った時には昔ながらの手作業でなくてはできず、パソデジタルでは対応できません。
そのちょっとしたところがやはり人間の手作業でなければできない部分があります。
そして、細かい患者さんの希望などもやはり手作業でなければ表現できないというところがあります。
デジタル化も確かに良いのですが使い方でデジタル化が良い場合と昔ながらの手作業の診療が良い場合と両方があるように思われます。
それに加え、現在材料の高騰により本来であれば型取りをして歯を入れなければいけないところを適当な詰め物などで終わらせてしまう歯医者さんが多くなってきています。
しかし詰め物でやれるところは詰め物やるべきなのですが、詰め物で済ませれないところを詰め物でやってしまうと、歯と歯の間の隙間が広くなってしまったりして、大きな虫歯の再発を引き起こしたり歯周病を引き起こしたりし、それぐらいだったら治療しないほうがよかったんじゃないかと言う状況になってしまいます
歯科治療にはやはり基本があります。
その中で例外と言うことをやってしまうと、それだけ影響は悪い結果として返ってきます
材料が高いから材料を使わない。安い治療で歯科医師が終わらせようという治療がここ最近増えてきているので、技工士さんの「保険の仕事の減少」による保険離れが進んでいるようです
④昨今の劣悪な材料について
この話題でも沢山盛り上がりましたが、ロシアウクライナの問題などを含めて金属代が高くなっているため、日本の歯科医療は金属を使わない形の治療に切り替えようとし始めてきています。
しかし、大きな問題があります。
より良い材料で金属を使わず治療ができれば良いのですが今国が保険で使うことを許可しているものは他の国では使わないようなとんでもなく「劣悪なもの」です
この技工士さん曰く、「こういう法律を作ってる人にちゃんとした歯科医師や技工士は入ってるんでしょうか?そういう意見を聞いてるのでしょうか?信じられないうくらい劣悪です。とりわけ保険の白い歯(ピーク冠とDCADインレー)は最悪です」という話をされていました
これ北海道の偉いN先生も同じことを言っていました
あれは絶対に使ってはいけない。と
(これに関しては後日「ピーク冠、CADインレーについて」ということで書いてみようと思います)
これは本当に大問題です
その他歯に関する話を3時間程度お話しさせていただきました
当院がなぜ多くの患者さんにきていただいているかということに「一人でも多くの方々にお口の健康を取り戻してほしい」という思いがあります
もう一つには当然歯科技工士さんも人間です
自分たちの仕事が忙しくなったらいっぱい仕事を持ってきてくれる売り上げになる歯医者と数少ない歯医者だったらどっちから仕事を断っていくでしょうか
そういうことも少し考えています
歯科業界の難しいところは多くに人たちとのチームワークで成り立っているということです
歯科医師がいて歯科衛生士さんがいて、受付さんがいて技工士さんがいて、歯科業者さんがいて地元の工事業者さんなどがいて・・・そして患者さんがいて
このどれが欠けてもなり立たない「人の医療」であるということです
当院はこれからも技工士さんと協力なタッグを組み保険治療、保険外治療に関わらず最善の治療を行っていきます
これからもそういう方々に感謝を忘れず良好な歯科医療を提供していきたいと考えています。
お口の中の悩み事はどのようなことでも構いません。
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