先日とある知り合いの方から他の歯医者さんで親知らずを抜いたが痛みがひかないというご相談を受けました
話を聞いてみると、歯(親知らずなど)を抜いた後のお薬は一般的にその時の痛みを消す「鎮痛剤(痛み止め)と痛みを根本的に消す「抗生剤」を出すのが一般的ですが、痛み止めだけでて痛み止めを飲んでるが1週間経っても痛いという話でした
それはそうです
本来痛み止めはその時の痛みを寝かせるだけで消してくれるものではないので痛み止めだけ飲んでもその時は痛みは消えますが、痛み止めが切れると痛いままです
大切なのは「抗生剤」です
これは親知らずの抜歯に関わらず歯科治療全般で言えることです
そういう話をしたところ
この方は歯科の分野に精通している方なので、担当の歯医者の先生にすでに抗生剤も欲しいと言ってはいましたが
「今は抗生剤は不足していて在庫がないので出せない」と言われたとのことでした
これは何もこのかたに限ったことではありません
最近こういうケースが当院には多く転院されてきます
当院では様々な手段を使い確保ができているものの(このルートを確保するまでは大変苦労しました)、皆さんもご存知かも知れませんが現在一般的な歯科医院では全く抗生剤が入ってきません。
また価格も高いものです
なので抗生剤を使えない(使わない)歯医者がかなり多くなってきているのが現状です
(抗生剤ほどではありませんが痛み止めも近いものがあります)
そしてこれは今に始まったことではなくもう半年以上こんな状況です
中には2年近く一般には出回っていないものもあります
まるで「仁」という漫画がありましたがそんな世界です
当院も今でこそ確保するルートを確立じたものの最初は本当に大変でした
なぜこんなにお薬がないのか?
大変気になっていたのでたまたま先日薬剤師の友人と飲む機会があったので聞いてみました
そうしたところ以下の通りでした
①生産数が減っている
これもニュースになっていましたが、現在薬の生産数はとある事情から激減しています
これに対しては本当に大変な状況で歯科に限らず医科の方でも同様の状況です
国も動いてますが全然十分ではないというのが今の状況です
②薬屋さん(薬の卸の方々)も高い薬をいっぱい買ってくれる大型のお医者さんや薬局を優先に売る
これは友人から聞いて確かに納得する話だったのですが、他のことにもいえますが卸の方は当然いっぱい買ってくれる人、高いものを買ってくれる人に売りたいものです
コロナ以降当院は歯科材料においてはそれで何度も助けられてきました
反対に他の歯医者さんから分けて欲しいという依頼があったこともありました
小さな歯科医院よりは当院のようないっぱい買う、高い機材を買う相手に歯科材料を売ります
ですので今でも多々ありますが何かの材料がない時は常に当院に優先的に売っていただけるので今まではそれで大丈夫でした
ところが「抗生剤(薬)」は違います
当初それが言っても言っても全くダメでした
その薬剤師の友人曰く
「歯医者なんていくら多く使うっていってもたかが知れてるよね。大型医院や薬局は抗がん剤など高い薬も買うので毎月の薬の購入額が何千万っていうとこともある。歯科は所詮買っても数万円。ただでも少なくて貴重な抗生剤なんだから手には入っても歯科には売らないよね。同様に小児科とか皮膚科も同じで小児科や皮膚科に抗生剤や咳止めはまわさないわ」
「現状歯医者が薬を取り合ってる相手は医科なんだから歯医者が勝てる相手じゃないよね」
って教えてもらいました
確かにその通りですよね・・・。
今まで歯科材料は大体業者さんが融通していただいていたのです少しうるさいことを言えばすぐ回していただけました
ある知り合いの先生が言ってましたが、「数は力」の世界です
ですが前述の通り、薬だけは今のラインを確立するまでは大変苦労したのがわかりました
ちなみに当院が大きな規模でやってるのにはこの部分もあります
コロナ以降材料においても未だに突然手に入りづらくなるものがいっぱいあります
マスクやグローブ、麻酔液(麻酔液の時も苦労しました汗麻酔を打たないで我慢させてやるという歯医者が多くあった中当院が通常診療できたのは業者の皆さんのおかげです)などという時期もありました。
消毒薬やお子さん用のフッ素なんて時期もありました
また材料でなくても人においても同様です
今回当院では4月いっぱいで「産休」に入ったスタッフさんがいらっしゃいました
あらかじめ規模の大きめの歯科医院である当院は少し多めの人員配置をとっているのと、高給与の当院は募集を出したところすぐに衛生士さんが応募していただけたのでことなきを得ましたがこういうことはあることであり、その影響は規模が小さい歯科医院であればあるほど顕著に患者さんに影響してしまいます。
そういう時においても「人」や「もの」で当院に通院している方々にご迷惑をおかけしないようにという意味合いが当院が規模を大きくしてる
またそれが大型歯科医院に通院していただく安心感でもあると思っています
実際にしっかりとした医療を行う上で実はこういうところも大切で、もちろん医療の技術や知識も大切ですがコロナ以降この部分の重要性は増すばかりです
僕の仕事の中でこの在庫の管理(情報収集なども含め)の時間が大変増えています
これに関しては「安心安全」な医療を提供するために致し方ないものと思いつつも、コロナ前のような状況に戻って欲しいと思うばかりです
そして同時に思うのはそういう時に抗生剤や痛み止めを出せない小規模医院は、外科(インプラントや抜歯)治療や虫歯治療でも腫れたり痛みが出そうなもの(根の治療など)はやるべきではないと思います
じゃないと患者さんが治療とは別な部分で辛い想いをしてしまうので
少なくとも当院はそのようなことにならないよう日々医療資源の確保に努めています
この方は当院でお薬を出させていただいたところ翌日には痛みが緩和してきたとのこと
本当に良かったと思います
また、友人の話では今の国の動きではまだ数ヶ月、年単位で正常に戻るのには時間がかかるとのこと
慌ててまた大量買いしました汗
いろいろ大変な時代になってきていますが、これからも当院は安全安心な歯科医療を1人でも多くの方々にご提供できるよう努力してまいります
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